作曲活動再開するまでの

40歳ぐらいの男が15年ぶりに作曲活動をはじめるにあたって全部

⑦勘違いが嘘になったことによる奮起の構図

好きな娘がいた。

彼女はどうも、僕が最終的にピアニストだと勘違いしたらしい。作曲して主にピアノを使うと僕が話したことを勘違いしたんだな。また僕が即興曲が好きだと話したのをどうもピアノ曲だと思ったようで、これを弾くのが好きだと思われていて、噛み合わなくなった時に、これは勘違いされてるだけだけど、このままだと嘘つきになってしまう流れがいつの間に出来上がっていた。僕も正社員していた時期で、疲れとお酒が入っていたこともあり良く意味が分かっていないだけだったが、困ってしまった。

彼女はクラシック音楽に詳しく、或いはその世界に憧れを抱いていた、ということだ。

1人になった時、これは彼女が思う「自分像」に強引にでも合わせないとこの子と上手くいかなくなるなと考えた。どうしてこれは結構無茶なのだ。

僕は彼女に「ピアノを上手くない」と言ったし、「ピアノ弾けるとはあんまり言えない。ピアノ凄い人沢山見ちゃって、だからピアノ弾けるって言っちゃうのは控えてる」と最初に言ったんだけど、どうもこれがまさかの「謙遜」だと解釈されたのではないか、と思う。

左で4分音符や8分音符で伴奏を取って、右でメロディを弾くのは出来るとは言った。結構具体的にそんなに弾けない感じに伝えられてると思ってたんだけど、謙遜しているピアニストだと思われていたようだ。

僕は因みに彼女を好きだったこの時期、正社員をしながら作曲活動を再開することを検討していた。そこまでの鍵盤能力が無くてもパソコンを駆使して戦う作曲が出来るようになっているからだったんだけど、こういう展開は想定外。でもピアノが一番好きな楽器で、それだけに皆より全然ピアノを使えないかも知れない不安が嫌だった。とにかくピアノは魅力的で、かつ難しい。

今思うと、彼女は僕がピアニストよりでクラシックよりの作曲家志望なんだと思ったのかも知れない。僕はポップスを美味しく弾いて、「・・・フッ」と雰囲気が出せれば十分と思っていて、作曲活動ではそこを目指してるんだけど。

しかし彼女が僕が即興曲が弾くのが好きだと思ってるなら、そうなってみようという非常に不純な動機によりピアノに励みだした。

今はそんな動機は無くなった。

例えば子供が親に言われるがままピアノ教室に通って、ピアノが好きになったというパターンがあると思うが、ちょっとそれに近い。しかし僕はシリアスなことに、動機の方も彼女と音信不通になったので「亡くなった」んだけど。

手は元々4分音符=125~140ぐらいでは遊んでいたので、ある程度動いた。左手はギターの恩恵を授かってか、割と利く。音楽初心者ではないし、また本当のピアノ初心者でも無い。

しかしそんなの関係ないと思うぐらい全然違う。ソロピアノってクラシックでもポップスでも一台で複数パートを纏めて聞かせるように弾くので、それはベロシティの範囲を定めた上、編集とコンプばりばりのパソコン上の1パートと比べようが無いほど難しい。聞いた以上に難しいのが、美味しく弾いた場合との違いかな。

 

作曲活動の再開を検討しつつ、ピアノに励みだして、僕は徐々に恋する力を失ってしまった。ただぼんやりと彼女は可愛いって思い出す程度だ。

恋力を失うほどに音楽を好きになってしまったんだから、何だか仕方ないし。色んな事を大きな流れで見たいなって思うんだ。

 

⑦勘違いが嘘になったことによる奮起の構図、終わり